現代生活の中で欠かすことの出来ない製品、それがスプリングです。我々の暮す現代社会においてスプリングはさまざま箇所に使用されています。決して普段は意識する事が無くても、間違いなく多くの製品にスプリングは使われています。家電製品・ガス機器・パソコン・自動車・ドア・玩具・そして医療機器にまで、スプリングはありとあらゆる分野で使われているのです。

その小さなたった一つのスプリングが無くなっただけで、多くの物は機能しなくなります。男性なら一度は、電気製品を分解した事はあるのではないでしょうか?分解の途中で、スプリングが飛び出し失くしてしまいスイッチが働かなくなった記憶はありませんか?

そんな日常生活で欠かすことの出来ないスプリングについて少しご説明しますね。

押しバネの基本的な内容

普通の円筒状のスプリングの場合、製作する上で必要となって来るのが材料の線径・材質 コイルの巻径・巻数 バネを取り付ける寸法 取り付けた位置で求める力です。

spring

材料

これはスプリングを製作する素材です。この素材を使用目的に合わせて選びます。錆に対して耐食性を必要とするなら耐食性に優れた「SUS304WPB」を選び

耐食性より、高荷重を求めるならピアノ線「SWP-A」を選択します。

材質が決まれば、次は線の太さです。線径はJIS規格がありますので、基本的には切りの良い数字で考えて頂ければ結構です。

0.30~1.00まではおおよそ0.05刻み1.00以上はおおよそ0.10刻みです。(0.30mmを下回ると少し細かく分かれます)

 

コイル

スプリングの形状を特定します。

コイルの大きさを見るにも、目的に合わせて、「内径・外径・中心径」とあります。

 

スプリングの用語

スプリングには、その仕様を決める為の必要不可欠な要素があります

その中身は、スプリングの形を決める物、スプリングの力を決める物スプリングの性質を決める物、スプリングの寿命を決まる物と多くの約束事の上で、一つのスプリングの仕様が決まるのです。

現在のスプリングの世界では、標準の仕様と言う物がありません。すべて、オートクチュール(注文発注)なのです。

これはスプリングを製作する加工機が、空間を利用して製作する事とそれぞれの製品において使われる条件がさまざまな事から、標準と言う物が作れない事が原因です。

スプリングについて国内で規格があるのは材料の丸線くらいの物ですそれ以外は、標準設計等の目安はあっても大部分は設計者の意図するところによって決められます。

その設計に用いるスプリングの用語を抜粋して下表にまとめました。

 

記号 記号の意味 単位
材料の線径 mm
D コイルの中心径 mm
D1 コイルの内径 mm
D2 コイルの外径 mm
Nt 総巻数
Na 有効巻数
L 自由長 mm
Hs 密着高さ mm
p ピッチ mm
Pi 初張力 N
c=d/D バネ指数
G 横弾性係数 N/m㎡
τo ねじり応力 N/m㎡
τ ねじり修正応力 N/m㎡
σ 曲げ応力 N/m㎡
E 縦弾性係数 N/m㎡
M ねじりモーメント N・mm
k バネ定数 N/mm
a1 a2 腕の長さ mm
P 荷  重 N
δ た わ み mm
ω 材料の単位体積当たりの重量 N/mm3